

- メール
メールサーバー移行時の並行稼働はできる?プロが解説
メールサーバーを移行するとき、一番の不安は「メールが届かなくなるのではないか?」という点です。特に会社や組織のメールの場合、ほんの数時間でも送受信ができない時間があると、取引先やお客様への信頼に大きな影響を与えてしまいます。
そんなときに検討されるのが「並行稼働」という方法です。並行稼働は、新しいメールサーバーを立ち上げつつ、古いサーバーも同時に動かしておく運用方法になります。
本記事では、この並行稼働の仕組みからメリット・デメリット、実際の設定の流れ、そして現場で使える便利ツールまで、プロの目線でわかりやすく解説します。
「メールソフト設定など含めトータルで丁寧にサポートしてほしい」
そんなときは私たちサイト引越し屋さんにお任せください。
専門のエンジニアとディレクターがしっかり対応させていただきます。
>>無料ご相談窓口はこちらをクリック!
目次(クリックで飛べます!)
メールサーバー移行時に並行稼働はできる?
メールサーバーの並行稼働とは、新旧のサーバーを同時に稼働させておき、一定期間メールを両方のサーバーで扱えるようにする方法です。
この並行稼働の仕組みによって、もし新サーバーに不具合があっても、旧サーバーがバックアップの役割を果たし、業務が止まるリスクを大幅に減らせます。
ただし、並行稼働をどのような形で実現できるかは現在のメールサーバーを動かしているインフラ環境に依存します。AWSやVPSなどでは本格的な並行稼働が実現できますが、レンタルサーバーの場合は簡易的な並行稼働のみ対応可能です。
===メールサーバーの移転は非常にリスクの高い作業になります。もし自社で実施することに不安を感じる場合はサーバー移転のプロであるサイト引越し屋さんに是非お任せください。
→無料ご相談窓口はこちら
並行稼働のメリットとデメリット
並行稼働は「安全にメールサーバー移行を進める」ための定番手法ですが、当然ながら手間やコストも発生します。現場でよく語られるポイントを整理しておきます。
メリット
- 業務停止の回避:メールが使えなくなる時間をほぼゼロにできます。
- 本番に近い検証:実トラフィックで新環境のボトルネックや設定漏れを早期に発見。
- 段階移行でリスク分散:部門単位など小さく切り分けて移行可能。
デメリット
- 構成の複雑化:新旧サーバー間のルーティングや配送制御が増えます。
- コスト増:並行期間は二重管理・二重リソースが必要。
- 原因切り分けの難易度:障害発生時にどちらの環境が要因か特定が難しい場合があります。
並行稼働が必要になるケース
並行稼働は常に必須ではありませんが、移行の難易度やビジネス重要度が高いときは「ほぼ必須」と考えるのが安全です。以下のような状況では強く推奨されます。
- 大規模組織での移行
- 日頃からメール利用が多い事業
- 業務停止が許されない環境
大規模組織での移行
ユーザー数が数百〜数千にのぼる場合、一度に全員を切り替えるのは現実的ではありません。並行稼働で部門や拠点ごとに段階移行すれば、混乱を防げます。
日頃からメール利用が多い事業
クライアントやパートナーとのやり取りがメール中心に回っている事業の場合には、事故が起きると大きな機会損失になりかねません。そのような場合には、並行稼働がお勧めです。
業務停止が許されない環境
ECサイトや24時間稼働のカスタマーサポートのように、メールの停止が即ビジネスの損失になる環境では、並行稼働が心強い保険になります。
===サイト引越し屋さんなら、メールアドレスの現状整理からメールサーバーの移転、移転後のメールソフト設定サポートまでトータルでご支援可能です。
→無料ご相談窓口はこちら
並行稼働を実現する具体的な手法
前述の通り、並行稼働をどのような形で実現できるかは現在のメールサーバーを動かしているインフラ環境に依存します。
ここでは、一般的なレンタルサーバーへメールサーバーを移行するケースと、VPSやAWSなどサーバーを自由にカスタマイズ出来る環境へ移行するケースの2パターンで考えてみます。
一般的なレンタルサーバーへメールサーバーを移行するケース
一般的なレンタルサーバーへ移行する場合には、簡易的な並行稼働のみ実現可能です。
具体的な手法としては、新旧サーバーいずれもメールサーバーを稼働させておき、どちらに繋いでも送受信できる状態にしておきます。
メールサーバーはDNSの仕組み上、MXレコードで繋いだサーバーのみ稼働可能です。そのため、サーバーをカスタマイズ出来ないレンタルサーバーでは後術するルーティング機能が実装できないため、あくまで新旧どちらかでしかメールの送受信ができません。
DNS切り替えの際は旧サーバーから新サーバーへ完全に切り替わるまでに24時間ほど要します。並行稼働しておくことで、DNSが不安定な時間帯もメールデータを失うことなく移行が可能になります。
なお、レンタルサーバーへのメールサーバー移行について、全体的な手順を解説した別記事もございます。合わせてご参考ください。
VPSやAWSなどサーバーを自由にカスタマイズ出来る環境へ移行するケース
VPSやAWSに移行する場合にはルーティング設定を活用し、新旧サーバーへ並行配送(二重配送)できる仕組みを構築可能です。
Postfixであれば always_bcc や milter、複数のtransport_mapsを用いることで両サーバーに配送できます(単純に relayhost だけを設定すると新サーバーだけに送信されるため注意が必要です)。
Postfixの設定ファイル編集サンプルは下記のようになります(/etc/postfix/main.cf に追記)。
relayhost = [new.mailserver.com]:587
transport_maps = hash:/etc/postfix/transport
配送ログの相関を取りやすいように、受信側でX-Headerを付与してトレースできるようにしておくと、トラブルシュートが格段に楽になります。並行稼働中はメールサーバーが想定通り動いているか新旧サーバーでの受信メール数・不達数などを監視しておきましょう。
全ユーザーが新サーバーで安定稼働していることを確認後、MXレコードを新サーバー専用に変更します。一定期間は旧サーバーを受信専用 兼 バックアップ用として保持し、最終アーカイブ取得後に停止します。
===「やはり自力でのメールサーバー引越し作業は難しそう」そう感じた場合には、まずはお気軽にサイト引越し屋さんにご相談いただければと思います。
→無料ご相談窓口はこちら
並行稼働を助けるツール
並行稼働時のデータ移行や差分同期に関しては、ツールを用いると効率化することが可能です。
例えば、オープンソースのメール移行ツールである「IMAPSync」は、メールデータの移行ができるだけでなく、差分同期に対応しています。並行稼働中の新規メールも継続的に反映できるため便利です。
===「メールサーバーの移転作業が面倒くさい」そんな時は、サイト引越し屋さんに丸投げでお任せください!移転のプロがすべての作業を代行いたします。
→無料ご相談窓口はこちら
並行稼働における注意点
並行稼働時はDNS反映待ちによる旧サーバーへの誤配送や二重受信の発生に注意が必要です。
また、両環境でのセキュリティ設定を統一し、安全かつ確実な移行を行うことが重要です。
- DNS反映時間の影響
- 二重受信の防止
- セキュリティ設定の統一
DNS反映時間の影響
MXレコード変更後、反映には数時間〜24時間程度かかり、稀に72時間かかることもあります。
この間は旧サーバーを停止せず、両サーバーにて受信を継続しましょう。
二重受信の防止
並行配送やIMAP同期により同一メールが重複する場合があります。
サーバー/クライアント側でのフィルタやメッセージIDによる排除に加え、移行ツールの設定を確認することも有効です。
セキュリティ設定の統一
SPF・DKIM・DMARCを新旧サーバーで揃え、迷惑メール判定のリスクを下げます。
送信ドメイン認証の不整合は配信失敗の典型要因です。
まとめ
メールサーバー移行時の並行稼働は、業務を止めずに安全に切り替えるために有効な方法です。
ただし、本格的な並行稼働はDNS設定だけでは実現できず、SMTPルーティングや二重配送設定、IMAP同期ツールなどを組み合わせる必要があります。特に大規模組織や異なるメールシステム間の移行、業務停止が許されない環境では、並行稼働がもたらす安心感は大きな価値があります。
一方で、並行稼働には設定の複雑化やコスト増、運用監視の負担増加といったデメリットもあるため、環境選定が不可欠です。レンタルサーバー環境では制約が多いため、柔軟な制御が可能なVPSやクラウド環境が望ましい場合もあります。
移行プロジェクトでは、必要な期間・手順・ツールを明確化し、DNS伝播など細部まで計画に盛り込むことで、トラブルを最小限に抑えたスムーズな移行を実現するようにしましょう。
「メールソフト設定など含めトータルで丁寧にサポートしてほしい」
そんなときは私たちサイト引越し屋さんにお任せください。
専門のエンジニアとディレクターがしっかり対応させていただきます。
>>無料ご相談窓口はこちらをクリック!
この記事を書いた人
サイト引越し屋さん編集部
日本で最も利用されているサーバー移転&保守代行サービス『サイト引越し屋さん』の中の人です。 サイト引越しに関わる技術情報をはじめ、WordPressやその他のWebサービスに関するノウハウを発信しています。 全日本SEO協会所属。
本サイトにてご提供している情報については、最新かつ正確な情報を提供するよう努力していますが、情報の正確性や完全性を保証するものではございません。また、コンテンツには一部プロモーションが含まれております。本サイトの情報を利用することによって生じたいかなる損害に対しても、当社は責任を負いかねます。情報をご利用される際は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願い致します。